五月晴れ 零話







 音を立てて降りだした雨
 全てを洗い流すように、ただ降りしきる
 さあさあと大地を濡らす雨音に交えて
 声が……聞こえる


 ―――大好きだよ


 震える唇で呟かれた言葉
 力の失った体を強く抱きしめる


 ―――生きろ……


 触れた手は 氷のように冷たく
 ただ失う恐怖に苛まれた、あの日…












 /