愛に飢え

 ねえ枢、あなたは知っているかしら。私があなたの知らないところで、彼と深くつながっているということに。あなたはそれを知ったらどんな顔をする? 驚く? それとも怒る? ああ、それとも悲しむかしら。あなたの悲しんだ顔、怒った顔、驚いた顔。どれも魅力的で見てみたいけれど、そうね。私が一番見たいのは、あなたが憎しみに燃える顔。怒りとはまた別に美しさを秘めているような気がするの。あなたはいつも感情を外に出さないから、私はあなたが微笑した顔しか知らないわ。ねえ、だから見せて? あなたのいろいろな顔をもっともっと見たいのよ。そうして私を満足させて。私あなたが大好きなの。愛してる。だから私は彼と関係を持った。あなたに憎しみを抱いてもらうために。狂ってる? 狂ってるかしら。ああ狂ってるのかもしれないわ。でもね、そうさせたのは枢あなたよ。あなたがあの子にばかり構うから、私のことを見てくれないから。私はあなたに振り向いて欲しいの。私だけを見て欲しいの。あなたが私だけを見てくれるなら、私もあなただけを見るわ。だって私はあなた意外に本当は興味なんてないんだから。あなた以外要らない必要無い。私とあなたと二人だけの世界があったら素敵なのにね。だって永遠にずっと二人きり。他の誰にも邪魔されなくて、私とあなたといつまでも一緒にいられる。ねぇ。素敵ね。そんな世界があったらいいのに。ああ造ってしまえばいいのかしら。他の皆を殺してしまって、私とあなただけが生き延びたならきっと二人だけの世界が造れるわ。とても素敵な素敵な世界。でもきっとそんなことをしてしまったら、あなたは私に微笑みかけてくれなくなってしまうでしょうね。それは嫌。あなたが私を嫌うなんて許さない。私を愛してくれなくては駄目なの。あなただけが、私を、愛して愛して愛して そして 憎んで。だけどやっぱり他の人がいたらあなたは私だけを見てくれなくなってしまう。だから。

愛に飢え



殺してしまいましょう。私以外の皆を、全て。
そうして憎しみに燃える瞳を、怒りを、悲しみを、笑顔を。全てを見せて、私に頂戴。