ある日突然訊ねたくなったので、私は昌浩に聞いてみることにした。
「ねぇ。昌浩ー」
「ん? 何?」
「昌浩さぁ……実は私より彰子姫のが好きでしょ?」
私の言葉に昌浩が飲んでいた白湯を噴出す。
予想通りの反応だけど、なんかちょっと腹が立つ。
「ぶっ……いきなり何いいだすんだよっ」
ゲホゲホせきこみながらあせる昌浩に、私は冷たい視線を向けた。
「えー。なんかそんな感じがしたから。だって彰子姫に貰った匂い袋すごい大切そうにしてるし。いつも身に付けてるし」
それが私としてみれば酷く不愉快であったりもする。
だって好きな人が、別の女の子からもらったものを大事に身に付けてたらちょっと妬けるでしょ?
「や、これはだって……ほら、匂い袋は破邪の力があるから。持ってないよりは持ってる方がいいかなって思って」
必死に弁解する昌浩の顔が真っ赤に染まっているのを見て、笑いたくなるのと同時に悲しくなった。
あーやっぱり昌浩は彰子姫が好きなんだなと再認識する。
……今更だけど、聞かなきゃ良かった。
「うん。ま、いいけどね」
そんなことで諦める私じゃないし?
「見てなさいよ、昌浩……」
「え、何か言った?」
「別に〜」
いつか私のことを好きだって言わせて見せるんだからね!