どういう話の流れだったのか覚えていないけれど、突然初恋はいつだという話になった。
 今ここに居るメンバーは、アスラン、アリス、キラ、カガリ、ラクス、そして私だ。
 カガリというのはキラの双子の姉で、今は別の学校に通っている。家もキラと一緒に住んでいるのではなく、アスハ家に養子に入っているらしいけれど、詳しい理由は知らない。
「マアサの初恋っていつなんだ? ていうか誰だ?」
 キラキラ目を輝かせて聞いてくるカガリ。そんじょそこらの男の子より男らしいカガリだけどこういう話が好きなあたり、やっぱり女の子なんだなぁとしみじみ思いながら、ジュースのストローを口にくわえたままちらりとキラを見る。私と目が合うとキラはにっこりと、それはもう怖くなるくらい満面の笑みを見せた。思わず視線をそらす。
「…初恋…初恋ねぇ」
「私も知りたいですわ」
「いつっていうか、気付いたら好きだったって感じだからなぁ」
 それでもって気がついたらすきではなくなっていた。そもそも本当に好きだったのかどうかも妖しいところだ。
「むしろ今になって思えば何で好きだったのか、すごく謎?」
「なんで疑問系なの?」
「ふふ、なんでだろうねぇ、アリス」
「それで結局誰なんだ?」
 カガリが聞く。みんなの視線がいっせいに私に向いて、なんだかなぁと思いながらその名前を口にした。
「アスラン」
「は?」
「え?」
 同時に上がった声の主は、当のアスランとその恋人であるアリス。二人とも目が点になっている。
「いやだからね、アスランなんだってば」
「……え、え、ええええっ!!!?」
 アリス、驚きすぎだって。
 アスランにいたっては顔を真っ赤にして声も出ない様子。全く気付いてなかったんだ。
 それはそれでなんか寂しいなぁと薄ら笑いを浮かべていると、キラが意味ありげな笑みを見せてぽんとアスランの肩を叩いた。


続くようで続かない話。