『僕、いつかあなたのために曲を作りたいんです。あなたに似合った、温かくて優しい曲を。出来たら、受け取ってもらえますか?』
はにかんだ笑顔で君が私に与えてくれた至福。嬉しくて他には何にもいらないと思った。あの時の幸せはどこまでも続くと信じてた。あなたの優しさ暖かさ、私はずっと甘えていたんだ。君がいなくなるなんて、考えたこともなかったよ。幼い頃からずっと一緒で、君はいつも隣にいて笑ってくれて。落ち込んだときや悲しいときは励ましてくれた。あったかい陽だまりみたいな君。これから先もずっと一緒で、いつか大人になって君と結婚してニコルとの子供を生んで幸せな毎日を過ごして、そして年老いていくのだと思っていた。そんな未来が来ることを夢見てた。なのに打ち砕かれてしまった。あまりにも儚く、あっけなく。
ニコル……ニコルニコルニコル、ニコル…。
受け取る人のない呼びかけは虚空に消えて、書き掛けの五線紙が空しく中を舞う。
いつか、だなんてもうそんな日が来ることはなくなってしまったね。未完成なメロディだけを遺して、君はいってしまった。ねぇニコル。好きだったよ。君が奏でる優しい旋律も、私を包み込んでくれる暖かな笑顔も、私を守ると言ってくれた君の思いも。君の全てが。大好きだったの。君は何を思いながら逝ったのだろう。最期の瞬間君は誰を想ったの?ほんの少しでも良いから、私のことを思ってくれてたなら、なんてすごく自分勝手なことを考えてる。だけどそうでもしないと心が砕けてしまいそう。悲しくて、寂しくて、辛くて、どうしようもないんだよ、ニコル。
君のいるその世界は、幸せに満ちているのかな。この世界と違って戦争なんか無くて憎しみも悲しみも遠く、みんなが幸せに包まれて、そうして暮らして笑顔の絶えることのない世界ならいいと。願い祈り続けているよ。だってそうでなければ、救われないよ。報われない。君の想いも君を喪って嘆く人も、全てが。
私の涙は今も留まることなく溢れ続けているけれど、やがていつか枯れて君は思い出に変わるのだろうか。
君を思う私の歌、今も鳴り続けている。遠い世界にいる君の元にも届くように。
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ニコル追悼夢…夢?
アスランの話と同様、超昔に書いてブログに載せてあったものをそのまま転載
H23.××.××