「ルックー?」
「…何? 何か用?」
「うーわー、何その言い方すごい冷たい」
「わざわざ喧嘩売りに来たのかい? 随分暇人だね」
「え、まっさかぁ。ルックが冷たいのはいつものことだし、喧嘩売ったところで勝てるわけないじゃん。そんな不毛なことしないって。あはは。あ、私はいつでも暇人だからそこんとこは否定しないよ」
「君さ、大分失礼なこと言ってる自覚あるかい?」
「あはは。気にしない気にしない」
「……それで? 一体何のつもりさ、そのふざけた帽子は」
「あ、これ? これはね…」
「…何、その両手」
「Trick or treat!」
「……は?」
「あれ、知らない? 今日ってハロウィンだよ?」
「ハロウィン?」
「そう。お菓子くれないと悪戯しちゃうよ? ってゆーやつ」
「あのね、ハロウィンくらい知ってるよ。僕が聞きたかったのは今日がハロウィンだったのかっていうこと」
「そーそー。今日がハロウィンなのさ。やだなルック若ボケ? 本ばっかり読んでるからだよー」
「……(怒)」
「ありゃ? 怒った? やだなぁ、冗談だってば怒んないで。んじゃまそーゆーわけで、ルック。お菓子ちょうだい」
「………君、相手考えて物言ってる? 僕が持ってるわけないだろう」
「えぇ〜。持ってないのー? とは一杯くれたのに」
「あの二人と一緒にしないでくれる?」
「他の人もくれたよ? フリックさんとかビクトールさんとか。あとキニスン君とか、クライブさんとかシュウさんとか、アップルとか…」
「シュウの所にまで行ったのかい?」
「うん。すっごいいやそうな顔されたけどくれたよ?」
「ならもういいじゃないか」
「だぁめ! ルックから貰わないとなんか気がすまない」
「だから持ってないって言ってるだろう。そんなに欲しいならナナミのところにでも行っておいでよ」
「う、や…。な、ナナミちゃんの手作り料理はちょっと危険だから、遠慮したいなぁ」
「…ああそう。でも何度も言うようだけど僕は持ってないからね。ナナミがいやならもっと他当りなよ」
「…ねーね。ルック。Trick or treatだよ?」
「何が言いたいのさ」
「だぁかぁらぁ! お菓子か悪戯。お菓子くれないなら悪戯しちゃうよ?」
「つまり僕がお菓子をもっていないから、君に悪戯をされろと?」
「そー」
「……。いい度胸だね。出来るもんならやってみなよ」
「え…。う、わっ、ちょ! ルック!! ギャッ! こんなとこで切り裂きなんて発動しないでよ! うわわわっ、あぶ、危ないってば! あ―――っ!! ちょっ、壁! 壁吹き飛んでるよ! っておいコラァ! どさくさに紛れて逃げるな! ルックーーーー!!」
「うるさいよ」
「うぎゃ〜〜〜〜!!!」
そうして城と住民の一部に多大なる被害を与え、今年のハロウィンは平和(?)に幕を閉じていく。
おわっとけ。