切な系100題「035:ともだち」

ずっとずっと、友達。
友達、だから



わすれない、よ。



ねぇロイ、君は知らなかったよね。君がリオンのことを好きになるずっと前から、私があなたを好きだったこと。こっそりフェイロンと競争してたりもしたんだよ。ロイが私とフェイロンのどっちに振り向いてくれるかって。馬鹿だよね、そんなこと有り得なかったのに。ロイは私たちのこと、女の子としてなんてこれっぽっちも見てくれてなんてなかったのに。

あの日、ゴドウィンの軍勢が城を攻めてきた日。あなたは自らの命を投げ打って立派に影武者としての役目を全うした。あなたという犠牲の元軍の旗頭である様も、私たちも生き延びた。でもあの時あなたの頭に、胸にあったのはただ好きな子を…リオンを守りたいという想いだけだったんだろうね。きっと私のことなんて欠片も思い出さなかったでしょ?
あなたはとても仲間思いだけれど、時々周りが見えなくなる時があったから。

あなたが自分の命と引き替えてまで守った城と一時の安寧。なのに彼女は最後まであなたの想いに気が付かなかった。気づこうともしなかった。私はそれがとても悔しい。彼女はずっと彼だけを気にかけて彼だけをみていた。彼女の立場を思えば当たり前のことなのかもしれないけれど、なんて残酷な人。

ねぇロイ、好きだったよ。私もフェイレンもあなたのことが大好きだった。少しも気付いてくれなくて、それどころかあなたはリオンという別の人を好きになってしまったけれど、私の想いは変わらない。私は今でもあなたが好き。他の誰が忘れてしまっても、あなたのこと忘れないよ。



ずっとずっと、あなたと私は友達。
それ以上にも、それ以下にもなり得なくて。
だからこそ忘れない。
あなたと過ごした時を、思い出を。
あなたが守ったものを、想いを。

わすれない。